事務所の名称に利他の2文字を掲げたいと思う。
ジンセイ60年を振り返り、社会を通じてさまざまな人達のお世話になった。後半ジンセイは微力ながらそのお返ししたいという意志と、事務所名に掲げることで、仕事をする己に対する自戒の意味も込める。
利他という言葉をより深く理解したい思いから、関係書籍を読み漁った。
稲盛和夫と瀬戸内寂聴の対談をまとめた「利他 人は人のために生きる」はそのひとつ。すでにお二方とも鬼籍に入られたが、すさまじいジンセイを通じて多くの人達に精神的な影響を与えてきた。
質実剛健な考えの稲盛さんに対して、一回り年上の寂聴さんがおおらかでユーモアのある切り返しがとても楽しい。
印象に残ったのは、稲盛さんのJAL再建時の話。倒産したにも関わらず過去のプライドを捨てきれない従業員に、ひたすら心の教育をし続けたこと。テクニックやマニュアルではなく、自ら考え始めたことが再建につながった。
「働く」ということは、人間の心を整えたり、心根を良くしていく効果があると説く。
寂聴さんは、天台宗の「忘己利他」という言葉を引きながら、「好事は他に与え、悪事は己に向え、おのれを忘れて他を利するは慈悲の極みなり」という教えを解説しながら、ご自身は欲望の塊で出家したなどと絶妙のエピソードを披露されている。
お二方とも90歳、78歳(当時)ながらも共通しているのは、その年になっても忙しく働いているという事。
60歳など、まだまだ青二歳だと思った。
利他の精神で仕事をしてきたからこそ、皆から愛される喜び(自利)もあるだろう。
目標にするにはあまりにも巨人だが、肩の力を抜いて、足元を見つめて行きたい。
事務所名は、社会保険労務士事務所RITAとする。

コメント