社労士としての提供価値 採用の極意⑦(パート・アルバイト編)

2023年の12月まで10年間にわたって勤務していたのが東京、神奈川、静岡で店舗展開をしていたパチンコホール経営会社である。

人事制度構築のお手伝いとして合流させていただいたが、居心地良く自分のキャリアの中では生保に次いで長い勤務となった。

居心地の良さとは何か。社長以下、社員、アルバイトに至るまで、経営理念に基づいて愚直に仕事に向き合っていた会社だからである。

経営理念については改めて別に書くこととするが、今回はこの会社のパート・アルバイトの採用について書きたい。

言わずもがな、パチンコホールを現場で支えているのはパートアルバイト(以下PAとする)である。

現在は、昭和の頃のパチンコホールのイメージからはずいぶん変わって、老若男女か楽しめるエンタメ空間である。

しかしながら、やはりギャンブルである以上、鉄火場としての人の感情が爆発することもある。一部の店舗では出玉をアピールするために今だにドル箱と言われる出玉の入った重い箱の上げ下げもある。遅番勤務は深夜0時を回る。という職場である。

他のサービス業と比べて時給設定の高さから応募は多いが、短期で退職、行方不明になる人間もいる。

しかしこの会社、PAの平均勤務年数が異常に長いのである。

その秘訣は、経営理念である「全ての人に感動を!」にも通じる。

基本的に,社員もPAも分け隔てなく同じ待遇なのである。

転勤と勤務時間の縛り以外は、社員と同様の仕事を求める代わりに、資格制度、評価制度は同一で賃金水準も同レベル。まさに同一労働同一賃金の考え方を先んじていた。

お客様を喜ばせるために、社員とPAが激論を交わすことも珍しくなかった。

採用は、店長自らが行い,面接しながら丁寧な仕事説明を行う、仲間を紹介し、現場となるホールを見学させる。

入社日には、ロッカーに仲間の手書きのウェルカムメッセージ。

担当トレーナーが、指導にあたり、非番の日は日報で引き継がれる。

人事は、1ヶ月目と3ヶ月目には本社から店舗に赴き、本人と困っていることはないか状況面談を行い、店長に丁寧なフィードバックを行う。

自分は大切にされている。求められていると思わないわけがない。

誠実な会社には、誠実な人が集まる。誠実な人しか残らないのだと思った。

組織は、多様な価値観を持った人間の集まりで、組織の思惑とは馴染まないことが多い。

しかし、パチンコ屋でありながらも地域、お客様に存在を認められるために。自分たちの仕事の意味を見出した人達は魅力的だ。

業界、職種を問わず、厳しい採用戦線の中で、人柄集まり、定着する組織には、それなりの理由があるのだという事を学んだ貴重な体験だった。

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