生保の仕事に倦んでいた時、先輩から誘われて始めて転職をしたのが人事コンサルティング会社だった。
これがワタシの職業ジンセイの大きなターニングポイントになった。
当時、日本経済のバブルが崩壊し、大企業はこぞってリストラクチャリングの名の下に大量の雇用調整を行った。
ワタシの会社はアウトプレースメント。いわゆる再就職支援会社であり、上流工程で企業の適正人員をコンサルティングし、その結果社外に出る社員たちの再就職のお世話をするサービスである。
会社名は「WayStation(ウェイ・ステーション)」。人生の岐路にたって自身のキャリアを見つめなおすという意味が込められている。後に米国の世界大手であるライト社に統合されるが、当時日本型の再就職支援のトップランナーとして走っていたベンチャー企業だった。
大企業はこぞってこのサービスを利用し、社員達に希望退職を促した。
このサービスを担う重要な役割として認識されたのがキャリアカウンセラーという職種である。
企業人事も、自社内でキャリアカウセラーを育成するニーズが生まれ、ワタシはその養成講座の企画・運営を任されることになった。
これが、面白かったのである。
講座は「キャリアマネジメント・コンサルタント養成講座」と名付けられ、組織が個人に対して施すキャリアマネジメント、個人が自身のキャリアをマネジメントするキャリアマネジメントの二つの意味を込めた。
講座の立ち上げ、内容については別途書きたいと思うが、講座のプログラムに参加しながら、労働市場の現状や、転職先の探し方、履歴書・職務経歴書の書き方、面接の受け方などの求職スキルと同時に、人事向けに人材の見極め方を学んだ。採用の極意である。
職務経歴書から読み取る人柄や市場価値。面談時に成果の再現性を確認するコンピテンシーインタヴューなど。
これらのスキルは、その後企業人事の仕事において、採用、育成、評価などさまざまな場面で役に立った。
そして本質となるキャリアカウンセリングの知識、スキルは、企業内のキャリア支援を考え実践するための礎となった。
この時、キャリアコンサルタントの資格を取得し、組織と働く個人の共生を信条とした現在のワタシの仕事につながっている。
講座の立ち上げは大変苦労もあったが、そこで得たものは計り知れないほど大きく、当時この仕事を無茶振りした上司には感謝しても仕切れないのだ。
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