前回は、生保の地域密着採用のノウハウを伝えたが、今回はマーケティング会社の専門職中途採用の経験をお伝えする。
人事コンサルを経て、初めて人事として転職したのがカルチュア・コンビニエンス・クラブ(通称CCC)だ。ワタシが勤務したのはその子会社のマーケティング会社。日本で初めて全国的な異業種のポイントアライアンス連合を立ち上げた「Tポイント」の企画、運用会社だった。
当時の社名はTカード&マーケティング。(通称TCM)
ここで、人材紹介会社と協働して濃密な仕事をした。
当時は、ポイントを使ったマーケティングの黎明期。アライアンス先を開拓する営業職や、膨大な購買履歴データを分析するデータアナリスト、そしてアライアンス先にデータを用いてマーケティングを提案するコンサルタントの仕事は世の中になかった。
世の中にない仕事というのは、求職者の就業候補には上がってこないという事。求人サイトでも検索されないという事。曖昧な職種で掲載すると見当違いな応募者が入ってくる。
どうしたか。
求職者と直接接点を持つ人材紹介会社に頼むしかない。彼らは求職者のエージェントでもあり、我々求人側のエージェントでもあるからだ。
当時、業界大手と言われた3社に依頼をかけたが、その中でもリクルートエージェントに助けられた。営業担当がずば抜けて優秀な人だったのである。彼は、我々の事業や仕事を積極的に理解した上で、社内のコンサルタントや就職者にアプローチし、その魅力を代弁してくれた。
それでも事業の拡大に人材の良、質が追いつかない。
どうしたか。
リクルートの彼は、自分だけでは追いつかないと察し、なんとリクルートエージェントの全キャリアコンサルタントに対して、TCMの会社、仕事内容の説明会をセッティングしてくれたのである。
説明会当日、並いるキャリアコンサルタントを前に、社長が会社説明を行い、各部門長が仕事内容と求める人材像を語り、その事業の将来性と仕事の魅力を訴えた。
この説明会以後、リクルート社を挙げての大量の紹介が始まったのである。
面接体制も万全で、大企業の技術者やシンクタンクのデータアナリストなど多様な応募者に対し、部門長、当該専門職、人事らのフォーメーションで望んだ。「面接」と言うよりは「相互理解」「相互訴求」の場に徹し、ミスマッチの解消に努めた。
応募者は在職者ばかりで、当然面接は連日18時以降に複数名が組まれた。
その結果、1年で50名余りの採用に成功したのだ。
もともと違う仕事を希望していたり、良い仕事があれば話を聞くといった登録者に対して、根気よく紹介してくれたコンサルタントのチカラ。それをコーディネートしてくれたあの営業マンのおかげである。
TCMの社員も連日遅くまでの面接で目を真っ赤にしていたが、自分たちの輝ける未来を信じて希望に溢れていたように思う。
入社した仲間も熱い想いを持って仕事に取り組んだ。
人材紹介会社と組んで過ごした、熱病のような熱い、濃い時間。
忘れられない思い出である。
コメント